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研究紀要の発刊にあたって

 急激な社会の変化に伴う価値観の多様化、その社会の要請に応えるべくして、矢継ぎ早に行われる教育改革に振り回されがちな学校教育ではあるが、教育の根本は何も変わらない。目指すものは、知(確かな学力)・徳(豊かな心)・体(たくましさ)のバランス、生きる力(自らの力で困難を切り開き、たくましく生き抜く力)の育成に尽きる。方法や手段が、時代の要請や子どもの実態・地域性により変わるだけで、本質的なものは不易である。

 教育は、子どもを通して次の時代を創る仕事である。我々教師は、つい目の前の子どもの対応や、日常の忙しさに追われがちではあるが、実は、とても重要な仕事に携わっている。子どもは、未来からの留学生と言われる。その子どもの持っている個性や能力を最大限に引き出し、社会や時代に貢献できる力を身に付けさせ、未来に返さなければならない。子どもの持っている個性や能力は実に様々で多様である。その個性・能力を見極め、個に応じた指導・支援に努め、健やかに成長させることが、私たち教師の責務である。

 その責務を全うする上で、研究は欠かせない。本研究会は、研究主題「生きる力を育むための情報活用能力の育成~確かな学力の育成に対応した情報教育のあり方を求めて~」の解決を目指し、会員の知恵と経験を結集し、さらには先進校の実践に学び、授業公開・実技講習会・実践交流に取り組んできた。会員相互で切磋琢磨し、個に応じたきめ細やかな指導を支えるべく「ICT教育のあり方」を模索した一年であった。それは取りも直さず、子どもの学習意欲の向上、学習活動の活性化に結びつき、ICT教育の必要性と重要性を証明するものであったと確信している。

 「子どもを見つめ」「子どもの変容で語り」「日常実践で証明する」この姿勢を大切にして取り組んできた365日。研究に対する情熱と子どもに対する愛情に溢れ、積極的に研究に打ち込む会員の皆様に頭が下がります。労力と時間を惜しみなく費やし、子どもの可能性を信じ、子どもの可能性を追求し続けた会員の皆様に心から感謝しています。また明日から、愛する子どもたちのために、新しい研究の一歩を共に力強く踏み出しましょう。

 

 

南北海道情報教育研究会 会長 鈴木 洋美

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